セージ
セージは薬効豊かなことで知られる薬草・ハーブです。お香の素材として定番とまではいえませんが(いろいろなお香に当たり前に使われるものではありませんが)、チベット香の世界では浄化香の素材としてしばしば調合されます。
目次 :
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セージとは? - 01
セージはシソ科アキギリ属の多年草。一般の家庭でも比較的容易に栽培でき、料理の調味料や生薬として利用されます。
調味料としては肉料理と合わせられることが多く、ソーセージの語源であるともいわれています(諸説あるようですが)。
生薬としてはとりわけその殺菌作用(消毒、風邪など感染症の予防)が有名ですが、他にも精神安定、強壮、抗炎症、血流改善など多岐にわたる効能が知られ、様々に処方されます。「セージの育つ家に死人が出ることはない」など、セージと健康・長寿の関係を謳ったことわざは世界各地に存在するようです。
ネイティブアメリカンとセージ - 02
殺菌能力の高いセージは古くから浄化の道具として重用されてきました。ひとつの有名な例として、ネイティブアメリカンの間で伝統的に行われてきたスマッジングが挙げられます。
スマッジングとは、乾燥させたハーブに火を着け、立ち昇る煙で空間などを浄化する行為です。使用されるハーブはセージ、ジュニパー、シダー、スイートグラスなどいくつかあるようですが、とりわけセージはその浄化能力の高さから重要視されてきました。いまでも「スマッジングといえばセージ」とイメージされる方は多いと思います。
元々は儀式などで行われる神聖な行為であったスマッジング。最近では世界中で親しまれるようになり、日常の生活に自然に取り入れられているようです。スマッジング用のセージとしては、カリフォルニアに自生する「ホワイトセージ」が人気を集めています。
チベット香とセージ - 03
先に触れたとおり、チベット香ではしばしばセージが使われます。とりわけ浄化香においては、多くの場面でセージが主役として使用されます。浄化能力に優れたセージが、浄化香の効能を極限にまで高めるのです。
ネイティブアメリカンのスマッジング。そして、チベット伝統香。
いずれも長い歴史をもつ文化です。科学も技術も発達していない時代に、遠く離れた地球の反対側で同じように「セージの浄化能力を発見し、その煙を浄化に利用していた」という事実に触れて、いまさらながら人類の偉大さ、その叡智の深さに感服させられます。
チベットセージの言い伝え - 04
チベット香に使われるセージは「チベットセージ」と呼ばれるものです。このチベットセージには面白い言い伝えがあります。
かつてチベットに疫病が蔓延しました。人々は病に苦しみ、次々と命を落としてゆきます。誰もが病に怯え、社会は恐怖と悲しみに包まれていました。そんな状況を憂えたのが、ゲルク派(黄帽派)の開祖ツォンカパ師です。静かに思索をめぐらせた師はやがて自らの髪を剃り落とし、ガンデン寺(甘丹寺)の地面に撒きました。すると髪の落ちたところから不思議な草が生えてきます。それは優れた薬草でした。この薬草のおかげで人々は救われたのです。
ここで出てくる「薬草」がチベットセージとされています。
地面に撒いた髪から薬草が生え~ という部分はもちろん脚色であるはずで、現代では信じる人も少ないと思います。ただ、チベット仏教文化圏では古くから薬草研究が盛んでしたから、史上最高の学僧とも評されるツォンカパ師がチベットセージの薬効を知らなかったはずはありません。恐らくは「薬草に精通するツォンカパ師が疫病の対策にチベットセージを用いるよう指示し、その結果、人々は疫病を克服した」というのが実際にあった出来事なのだろうと思います。
ちなみに、ガンデン寺は現在もゲルグ派の総本山としてラサ近郊に建っています。ガンデン寺周辺で採取されるチベットセージは「ガンデン草」とも呼ばれ、人気を集めているそうです。
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