沈香・伽羅
沈香は古くから世界中で愛されてきた香木です。
目次 :
|
沈香の正体 - 01
沈香は有名な香木ですが、その正体は一風変わっています。
沈香の元となる原木は沈香樹(学名:アクイラリア・アガローチャ Aquilaria agallocha)。東南アジアに植生する沈丁花科の常緑高木です。もっとも、沈香樹そのものに芳香はありません。
沈香樹には、風雨や害虫に木部を侵された際、樹脂(沈香油脂)を分泌して侵蝕部を防御するという性質があります。侵蝕部に蓄積されたこの樹脂が、更に長い年月(最低でも30年以上)をかけてバクテリアに分解され、その結果として生まれるのが沈香です。沈香樹全体の中で、沈香を採取できる部分は1%に満たないそうです。
つまり、沈香は自然界の様々な偶然が重なってはじめて生まれるものだといえます。現在では栽培した沈香樹に意図的に傷をつけ、人為的に沈香を作り出すことも試みられていますが、天然沈香に近い品質のものを作ることは難しいそうです。
沈香の最上級品、伽羅 - 02
樹脂である沈香は水に沈みます。沈香(沈水香木)という名の由来ともなった性質ですが、この樹脂の比重が高く、黒褐色の濃い沈香ほど油脂分を多く含む良品とされます。そして、そのなかで特に優良なものが「伽羅」と呼ばれ珍重されます。
優れたものには銘が付され、美術品のように扱われることもある伽羅。かつては「同じ重さの金と同等の価値を持つ」といわれたこともあるようですが、現在では金とは比べ物にならないほどの高値で取引されます。
ちなみに、品質の高い伽羅ができるまでには、沈香樹に樹脂が形成されてから更に100年以上の年月が必要となるそうです。
日本における沈香の歴史 - 03
沈香が日本に伝わったのは推古天皇の時代(595年)。ある日、淡路島に、人がやっと抱えるほどの大きな木片が漂着します。これを島民が拾い、竃で火にくべたところ芳香が辺りに広がったため、不思議に思って朝廷に献上した、という記録が日本書紀に残されています。
以来、沈香は貴重な香木として珍重されてきました。たとえば徳川家康も朱印船貿易で沈香(伽羅)を熱心に集めたといいます。
蘭奢待(黄熟香) - 04
日本に渡った沈香として有名なものに蘭奢待があります。蘭奢待は全長156cm、重さ11.6kgの沈香(伽羅)の原木。東大寺正倉院に納められる御物です。渡来の時期については諸説ありますが、少なくとも鎌倉時代以前には日本に入ってきていたようです。
蘭奢待はこれまで足利義政、織田信長、明治天皇など時の権力者たちによりその一部を切り取られてきました。切り取るなんて横暴だという見方もあるかもしれませんが(御物は皇室の所蔵品ですのでもちろん明治天皇は別として)、反対に考えると、時の権力者であってもその一部しか切り取ることができなかったともいえ、蘭奢待の貴重さをあらためて認識させられます。
生薬としての沈香。その効能 - 05
漢方では沈香が生薬として扱われます。基本的な作用として鎮静、鎮痛、抗菌作用があり、ここから様々に応用されますが、特にその鎮静作用は効果の非常に高いことで知られます。
チベット伝統医学においても同様に理解され、沈香のお香が精神安定、安眠などのために処方されます。その煙を吸い込むことで脳内のアルファ波が増加することが実験でも明らかになっているそうです。
イライラしているとき、不安を感じているとき、心を落ち着けてリラックスしたいときに是非焚いていただきたいのが沈香のお香です。
浄化香として、お供えのお線香として - 06
沈香は浄化能力にも優れますますので、浄化香としてのご利用はもちろん、お供えに使うお線香としてもお薦めです(参照:お仏壇にお供えするお線香)
|
3,390円 | |||
古来のレシピをもとに贅を尽くして作られた癒し香。沈香をベースに作られたチベットの伝統香 |